理事長挨拶(20/2/25)

日本バトントワリング協会 理事長挨拶

 お昼前の小学校の横を通ると、給食の我が家のメニューには無いおいしそうな匂いがしてきます。以前、小学校6年生の総合学習で「歴史を作った人、歴史を作る人」をテーマに学んでいるとの事で、どういう訳か、私に公演依頼が届きました。今ならもっと明確に話をする事ができたのに、と悔いるばかりです。今改めてその時の公演の趣旨を子供たちに伝えなければとお考えになった校長の意図がわかりました。

 私流の「歴史」とは、「社会にとり、取るに足りない小さな事柄でも、今自分が真剣に向き合っている事を次世代に伝えていく事」それ自体がその道での歴史になる。と、この自分の生き方に学校側が共感されたのではないかと。

 女性が結婚、出産、育児、介護の仕事をしながら目標を持ち、一生同じ仕事をしていく事、それは、男性より難しい事です。「バトンの楽しさを伝えていきたい」この一言は大きな責任を背負っています。意思を貫く、思いを伝える、何より続ける事、これは日々の生活の中で簡単な事ではないと感じています。
 
 協会では、今バトンを習って楽しく活動している子供たちが、突然先生の都合で辞めることになる、それでも活動できるようにするために何をしていくべきか?他の指導者を探すことでしょうか?
 
 一つの提案をします。「子供たちを育てよう」です。

 根本的に人に物を教える事は、文化を引継ぎ伝えることではないでしょうか?楽しさを伝える事は家庭、地域が明るくなることではないでしょうか?文化でお腹がいっぱいにはなりませんが、好きな文化を小さい頃から受け入れる事は、何にも代えがたい心が育ちます。

 しかし、どうしたら一生同じ仕事をすることができるの?
 例えば小学1年生でバトンに出会った子供は10年で高校生になります。高校生になったら、指導者の助手として、先生と一緒に指導し、時には先生が出来ない時は、ご父兄のお力をお借りしながら、共に先生の苦しい時期を凌いでいく。それまでは、環境の中で指導者はやりくりしながら忍耐です。そして一時を過ぎれば先生も活動でき、また、子供たちが指導者になる事も考えられます。
この小さな繰り返しを行い、歴史の一部を皆が担って行く事で文化が育まれ無理なく地域で根付いていくかと思います。どんな素晴らしいバトンの技術を持っていても、この歴史の一役を担おうとする努力をしなくては女性が作る歴史は消えていってしまうのではと感じます。

平成20年2月25日 野口智子

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